業種別

社会福祉法人制度改革について

2015.03.06
ヘルスケアセクター
公認会計士 秋山 修一郎

平成27年2月12日に社会保障審議会福祉部会から、「社会保障審議会福祉部会報告書~社会福祉法人制度改革について~」(以下、「報告書」)が公表されました。
報告書では、冒頭、社会福祉法第24条に規定されている経営の原則「社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。」が引用されています。これを社会福祉法人の経営の原則として再確認した上で、この報告書では「公益性・非営利性の徹底」、「国民に対する説明責任」および「地域社会への貢献」を制度見直しの基本的な視点として掲げています。

以下、報告書の主な内容です。

  主な内容
経営組織の在り方の見直し
  • 理事・監事等の権限・義務・責任などを法律上明記
  • 評議員会の必置化、議決機関化
  • 一定規模以上の法人への会計監査人の設置義務化
運営の透明性の確保
  • 閲覧対象書類の拡大と閲覧請求者の国民一般への拡大
  • 財務諸表、現況報告書、役員報酬基準、区分別役員報酬総額、親族などとの取引内容のインターネットによる公表の義務化
適正かつ公正な支出管理
  • 役員報酬支給基準の作成と公表の義務化
  • 関係者への特別の利益供与を禁止
  • 開示対象となる関連当事者の範囲や取引額を拡大
地域における公益的な取り組みの責務
  • 日常生活、社会生活上の支援を必要とする者に対する無料または低額の料金での福祉サービスを提供することを責務として位置付け
内部留保の明確化と福祉サービスへの再投下
  • 内部留保(利益剰余金)のうち事業継続に必要な財産(控除対象財産額)を控除し、再投下可能財産額がある場合、福祉サービスへの計画的な「再投下計画」作成を義務化
  • 「再投下計画」については「地域協議会」による福祉ニーズの反映、公認会計士等のチェック、所轄庁の承認が必要
行政の役割と関与の在り方
  • 勧告、公表に係る指導監督権限規定を整備
  • 会計に係る指導監督や再投下計画の承認などの際に公認会計士等の専門家を積極的に活用
  • 都道府県の管内の市による指導監督を支援する役割、国の制度の適正な運用を確保する役割
退職手当共済制度の見直し
  • 支給水準を職員の定着に資するよう長期加入に配慮したものとすることが適当
  • 合算制度や公費助成の見直し

今後は、この報告書をもとに社会福祉法人の公益性の在り方やガバナンスの強化策が制度化されるとともに、法人運営の透明性確保に向けた、よりいっそうの情報公開が求められていくことになります。
報告書には、近日中に社会福祉法の改正を伴うものや、今後継続して検討すべき内容が盛り込まれています。今後の動向や検討状況については厚生労働省や所轄庁である地方自治体から発信される情報に留意する必要があります。
昨今の人口減少、独居高齢者の増加や子どもに対する虐待の深刻化などを背景とした福祉ニーズの多様化・複雑化などの社会状況の変化や、ほかの経営主体とのイコールフッティングなどの観点から、社会福祉事業の中心的な担い手である公益性と非営利性を備えた社会福祉法人に、これまで以上の役割を期待するとともに、適正な法人運営がこれまでにも増して要請されていくものと考えます。

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