業種別
医療法人会計基準

第6回: 医療法人会計基準(厚生労働省令第95号)の概要

2016.10.24
ヘルスケアセクター
公認会計士 飯田 直矢

「医療法人会計基準(厚生労働省令第95号)」及び「医療法人会計基準適用上の留意事項並びに財産目録、純資産変動計算書及び附属明細表の作成方法に関する運用指針」が平成28年4月20日に公表されました。今回は制定の趣旨と概要について解説します。

1. 制定の趣旨

医療法人は、医療法第51条第1項によって毎会計年度終了後2カ月以内に、事業報告書等(事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書その他厚生労働省令で定める書類)を作成する必要があります。また、平成27年9月28日に公布された医療法の一部を改正する法律(平成27年法律第74号)により、一定の規模以上の医療法人については、厚生労働省令で定めるところにより、前項の貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならないこととされました(同条第2項)。医療法人会計基準は、貸借対照表及び損益計算書を作成するための会計処理の方法および財務会計情報として整備すべき内容を定める事を趣旨としています。また、同日に公表された医療法人会計基準適用上の留意事項並びに財産目録、純資産変動計算書及び附属明細表の作成方法に関する運用指針は、医療法人会計基準が適用される医療法人が、貸借対照表等を作成する際の基準、様式等についての運用指針を定める事を趣旨としています。

2. 医療法人会計基準(四病院団体協議会)との違い

医療法人会計基準には厚生労働省令第95号で定めるものの他に、本シリーズの第1回で記載した、四病院団体協議会(一般社団法人日本病院会、公益社団法人日本精神科病院協会、一般社団法人日本医療法人協会および公益社団法人全日本病院協会で構成される)会計基準策定小委員会による「医療法人会計基準に関する検討報告書」に記載のものがあります。両者の主な違いは以下の通りです。

医療法人会計基準
(厚生労働省令第95号)
医療法人会計基準
(四病院団体協議会)
医療法第51条の2に規定される一定の規模以上の医療法人が作成すべき貸借対照表・損益計算書の作成基準 医療法第50条の2に規定される医療法人が準拠すべき「一般に公正妥当と認められる会計の慣行」を具体化するものの一つ
強制的に適用される。
(一定の規模以上の医療法人について)
強制的には適用されない。
(準拠すべき「一般に公正妥当と認められる会計の慣行」の選択肢の一つ)

3. 医療法人会計基準の対象となる医療法人

医療法人会計基準(厚生労働省令第95号)の適用対象となる医療法人は以下の通りです。金額については最終会計年度(当該会計年度に係る事業報告書等につき理事会の承認を受けた場合における直近の会計年度のうち最も遅いもの)の数値で判断します。

医療法人 社会医療法人
負債の部の合計額が50億円以上
又は
収益の部の合計額が70億円以上

負債の部の合計額が20億円以上
又は
収益の部の合計額が10億円以上
又は
社会医療法人債発行法人

4. 今後の予定

医療法人会計基準(厚生労働省令第95号)及び医療法人会計基準適用上の留意事項並びに財産目録、純資産変動計算書及び附属明細表の作成方法に関する運用指針は平成29年4月2日から施行されます。

適用対象となる医療法人については、平成29年4月2日以後開始する事業年度(3月決算の医療法人であれば平成30年4月1日開始事業年度)より、医療法人会計基準(厚生労働省令第95号)に準拠した計算書類を作成する必要があります。
今後は、適用初年度における取扱い通達、実務指針等の発出が想定されます。